オアシスのような東京の花屋/あみちゃんファーム

エディブルフラワー

エディブルフラワー。家庭用には、多品種5輪〜30輪のサイズで販売。花弁が小さい季節は内容量を増やしている

東京には、オアシスのような花屋がたくさんあります。
なぜ仕事として花屋を選んだのか、日々どんな思いで草花や客と向き合っているのか。

都内でも注目の花屋を作家・エッセイストの大平一枝さんがたずね歩きます。

(取材・文/大平一枝 撮影/佐々木孝憲

食べる花づくりは、東京の農業に合っている

プリムラ

加温ハウスの地面いっぱいに咲き誇るかれんなプリムラ。味は淡泊でやわらかい口当たり。原色に近い鮮やかな色柄のバリエーションが魅力

「そんな花、誰が買うの」。
農業試験場に勤めていた27歳の時、研究員から「エディブルフラワーという食べられる花があって、東京には生産者がいない」と聞いた。野菜の直売所からも「それをほしがっている飲食店やシェフがいる」と伝え聞く。

網野信一さんは、それまで知らなかったが「生産者がいない」という言葉に心をつかまれた。

「よく農家は3代でつぶれるといわれます。相続税のために土地を手放したり、大変すぎて子が継がないからです。僕は3代目で野菜農家です。それを絶やしたくないという気持ちと、どうせやるなら親父と違うものをやりたいと思ったので」

網野さん

32歳、小1と3歳の父。「子どもは種蒔きを手伝ってくれます。働く姿を見せられるのはうれしい」と網野さん。日曜完全休で家族と過ごすそう

2年前に退社し、完全就農。販売も手掛ける会社にした。

育てて初めて気づいた。小さな土地でつくれて、冬に咲く花もあり野菜のような端境期がない。少量多品種の東京型の野菜農家同様、エディブルフラワーも多品種が向く。これは東京にとてもあった生産方式だ、と。

ハウス内

ビタミンCやミネラルが豊富な完全無農薬。飲食店、料理教室、パーティ、講演。需要は増える一方だ。

一輪ずつ花粉をピンセットでとる気の遠くなりそうな作業の連続だが、その原動力は実にシンプルだった。
「見ると誰もがわあっと笑顔になる。結局飾りでしかないのですが、あると料理や食卓がとたんに明るく華やかになる。これは野菜にはない魅力です。だからもっともっと知ってもらいたい。その一心でやっています」

予約すれば見学可能で、現地で買える。こんな熱い志の「花屋」を久しぶりに見た。

ストック

網野さんが好きな花、ストック。「つくっている農家が少ないので、あまり知られていません。甘い香りで、食べやすくて、淡い色合いも美しい。普及してもらいたいエディブルフラワーの筆頭です」と網野さん

ベゴニア

ベゴニア。はっきりとした酸味があり、「食べる花」として分かりやすい。加熱しても赤色が変わらないので中華の餡に酸味と色どりとして使われることも

ナスタチウム

ナスタチウム。花、茎、葉も食べられる。クレソンや西洋わさびのような清冽な辛さがあり、サンドイッチに挟んでもおいしい

ヴィオラ

ヴィオラは約20種。赤、白、黄、茶、パステル、斑入りなど小さいが華やか。花の少ない冬〜春先の主役

ハウス

ハウスは全16棟。うちエディブルは2棟。将来は逆転させたいとか

※この記事は「リライフプラスvol.28」掲載時のものです。

あみちゃんファーム
adress 東京都立川市栄町2-28-1
open 13:30~17:00 日曜休
telephone*090・6949・1814

Source: Sumai
オアシスのような東京の花屋/あみちゃんファーム