鎌倉のチーズ専門店併用住宅。プールが眺められるバーコーナーも

チーズ専門店「ポルタム」の店内

鎌倉駅の目と鼻の先に建つ、まるで蔵のような建物。それがKさん夫妻が2年前に始めたチーズ専門店「ポルタム」とKさんの住まい。妻の祖父のギャラリーを建て替えたものです。Kさんは当時からあった庭やプールを生かし、鎌倉の風情と家族の記憶を継ぐお店にしたいというイメージを持っていたそうです。

子どもの頃から親しんできたものを伝え、共有していく

蔵のような外観

設計を依頼したのは石川淳建築設計事務所の石川淳さん。「店舗併用住宅は、生活感が出ないようにすることがポイントです。窓を最小限に抑えて隠れ家的な住居とし、プライバシーを守りつつ外の気配を感じないようにしました」(石川さん)
住居である2階は、道路に面した南側には窓を設けず、住居用の玄関も目立たない位置にしました。

お店のロゴにもなっている門扉

お店の目印といえるのが三角屋根と、この門扉。実は、妻の祖父は新聞連載の4コマ漫画『フクちゃん』の作者として知られる横山隆一さん。門扉はその作品を展示していた旧ギャラリーにあったもので、お店のロゴにもなっています。また、店名の「ポルタム」も、ラテン語で「門」という意味だそうです。

バーコーナー

建て替えにあたって、妻には「三角屋根の家」「門扉越しにプールが見える」などの具体的なイメージがあったそう。門扉は、通りからも見えるバーコーナーに配置。バーコーナーの奥にはなんとプールが。

プール

バーコーナーからは庭が眺められ、桜や梅の木、藤棚、プールなど、妻が子どもの頃から親しんできたもので彩られていていました。

飲み物とともに気軽にチーズを試し、購入できるお店

約60種類のお取り寄せチーズが並んだショーケース

お店は「もっと気軽にチーズに親しんでほしい」との思いから始めたもの。「以前フランスに住んでいたとき、対面で量り売りするチーズ屋がたくさんあったんです。そんな店が日本にもあればいいなと思って」(夫)
店内のガラスケースには、フランスやイタリア、オランダなどから取り寄せた、約60種類ものチーズが並びます。

チーズが楽しめるバーコーナー

バーコーナーではお店に並ぶチーズを少量買って食べる、いわゆる「角打ち」スタイルでチーズが楽しめます。「チーズは食べてみないと自分の好みの味かどうか分からない。私も何度も失敗してきたのでわかるんですよね」(妻)

チーズ業務用の厨房

チーズと飲み物を提供するためにはシンクを分ける必要があるため、厨房は2つ設けています。上の写真は、注文に応じて切り分け作業を行うチーズ業務用の厨房です。

バーコーナー専用の受け渡し口

イートインのためのチーズや飲み物は、バー用の受け渡し口から提供するスタイル。

トイレとバックヤードのドア

バーコーナーの奥にはトイレ(グリーンの扉)とバックヤードがあり、バックヤードは住居用の玄関につながっています。

住居はスキップフロアの採用で空間を有効活用

中2階

住居には祖父の作品や資料などを収める広いスペースが必要だったため、石川さんは、天井の低い中2階を設け、そこに収納庫や寝室、サニタリーなどを配置。またコンパクトなスペースを有効活用するためにスキップフロアを提案しました。
上の写真の左手が2階にあるLDK床下にあたる収納庫、右手がサニタリー。階段を半階上がるとLDKに至ります。

プールを見おろすことができる寝室

寝室北側の窓からはやわらかな光が差し込み、プールを見おろすこともできます。

2階のLDK

中2階の活用によって広く開放的になった2階のLDK。ここには、大人数が集まるときにも対応できる大きなキッチンとダイニングテーブルを設置。友人や親戚などが大勢集まっても余裕だとか。

LDKの一角にあるワークスペース

LDKの一角には、夫が仕事をするときなどに使用するワークスペースを設けています。

LDKからルーフバルコニーを見る

LDKにはルーフバルコニーを設けました。この配置で屋上がより身近になり、室内にいながら空を感じることができるのは、スキップフロアならでは。南側に窓がなくても、明るく風通しも抜群です。

鎌倉の景色が一望できるバルコニー

「ルーフバルコニーからは花火も眺められるし、鎌倉の景色も一望。周囲の視線が気にならないのもいいですね」と夫。鎌倉の中心地にありながら、開放感とプライバシーを両立できる住まいになりました。

設計 石川淳建築設計事務所
取材 松浦美紀
撮影 川辺明伸
※情報は「住まいの設計2019年12月号」掲載時のものです。

Source: Sumai
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