家事ラクキッチンで、洗濯や子どもへの気配りも同時並行<建築家の提案>

キッチンから洗面室、物干し場のドアを見たところ

家づくりでキッチンのプランをする際には、「家事ラクで、時短にもなる」ことを意識しましょう。

たとえば朝の忙しさをイメージしてみてください。お弁当をつくりながら、洗濯機を回し、子どもへの気配りをしながら朝食の用意…。同時進行で、様々な家事をこなさなければならないことに気づくでしょう。

建築家・田中ナオミさんは、そんな慌ただしさを解消するためのキッチンづくりをいつも心がけているそう。手掛けたキッチンの事例を紹介してもらいました。家事ラク、時短の助けになるキッチンレイアウトの参考に!

キッチンが家事全般の司令塔になるようなプランを

間取り図
上の間取り図は、LDKのある1階の間取り図です。
この住宅ではアイランド型のキッチンを中心に据え、その周りを囲むように食品庫、サービスヤード、洗面浴室、洗濯物干し場を配置。また、サービスヤードから玄関側に出る通路と、洗面所を抜けて洗濯物干し場、デッキへ出られる2つの裏動線も設けました。

こうすることでキッチンを起点にしながら、洗濯物を干したり、ゴミ出しに出たりする動きを可能な限り短くしています。キッチンで料理しながら、背面の食品庫から食材を取り出したり、子どもにご飯を食べさせながら洗濯をしたり、ゴミ出しをしたり。忙しい朝の時間も節約できます。

キッチンからほとんどの場所が見渡せる

ダイニング、和室、デッキまで見渡せるキッチン

キッチンからは、1階のほとんどのエリアが見渡せるようになっています。

キッチン左手は通路とトイレ。小さなお子さんがいる場合は、ドアを開けておいてひとりで使わせることもできそうです。
また夕食の準備をしているときなども、子どもがダイニングや和室、デッキにいても目が届きます。子どもにとっても、親が見えているので安心して過ごせるのではないでしょうか。

また、いちばん上の写真に見える、右手の2つのドアは、手前は洗面室、その隣は洗濯物干し場です。サービスヤードとは反対側の裏動線になります。

洗面所の隣にある洗濯物干し場に続くドア

こちらは洗面室から、洗濯物干し場を見たところ。洗濯物干し場には光を透過する屋根をかけてあるので、急な雨なども気にする必要はありません。

キッチンの背面にある食品庫

キッチンの背面にある食品庫です。冷蔵庫や調理家電なども食品庫に収めて、スッキリ見せる方法もありますが、時短を軸に考えると冷蔵庫や調理家電はキッチン側に置いたほうがいいでしょう。

このような配置にすれば、すべてを見渡し状況を把握しながら、万事がキッチンから指揮できるというわけです。

プランのポイントは作業動線を整理すること

ガスコンロ前面に下引き換気扇を取り付けたキッチン

キッチンを中心にしたプランでもうひとつ大切なのは、作業の動線を整理することです。
キッチン周りは、ただでさえ動線が錯綜しやすいエリアですから、何人かが同時にいても効率よく動けるようにするに越したことはありません。
またキッチンが中心になっているので、雑多な感じを軽減しつつ、空間の美観を保つことも大切です。

この家の家事ラク、時短とスッキリ見せるためのポイント

  • キッチンを中心に、ぐるっと回遊できる形にして動線が交錯しないようにした
  • アイランド型のキッチンなので、下引き換気扇を採用。天井からぶら下がる換気扇フードや仕切り壁がないので、目の前をスッキリと大きく開くことができる
  • 洗面所と洗濯物干し場の両方にドアを設けて、洗濯物を干すときは洗面側から、取り込む際にはダイニングから直接出入りできる
  • キッチンの後ろに調理家電置き場と冷蔵庫、その奥は引き戸で仕切った食品庫がある。引き戸を開けておけばダイレクトにアクセスでき、締めておけばスッキリ見える
  • キッチン左手には通路を挟んで、トイレを配置。通路を挟んでいるので、距離は近くても中の気配は伝わりにくい
  • トイレの隣は勝手口。勝手口の向こうはサービスヤード。ゴミ出しなどは、この裏動線を使う

この家の設計は、忙しい家族のための毎日をどのようにサポートしていくかというのがテーマでした。
細かいアイデアを散りばめた結果として、家族の家事ラクと時短に寄与する家になったようです。

●教えてくれた人/田中ナオミ
一級建築士、NPO法人家づくりの会会員、一般社団法人住宅医協会認定住宅医。女子美術短期大学造形科卒業。エヌ建築デザイン事務所、藍設計室を経て1999年田中ナオミアトリエ一級建築士事務所を設立。著書に『片づく家のアイデア図鑑 快適な住まいをつくる収納と暮らしの工夫』(エクスナレッジ)、『住宅医のリフォーム読本』(彰国社)などがある

撮影/山野健治

Source: Sumai
家事ラクキッチンで、洗濯や子どもへの気配りも同時並行<建築家の提案>