火葬式を選んでよかった~コロナ禍に最小限の葬儀で感じたこと

斎場の外観

※写真はイメージです

新型コロナの影響は葬式にも。通夜や告別式をすることなく、火葬のみを行う「火葬式」が広く取り入れられるようになりました。

日刊住まいライターも、最近喪主として「火葬式」をとり行ったひとり。少人数でシンプルな式は、結果としてはとても良い葬儀になったと満足したそう。コロナ禍の葬儀の一例として、その一部始終を話してくれました。

死亡から葬儀の手配までの流れ

先日、母が12年にわたるガンとの闘病の末、他界しました。最後は体調が急変して自宅で息を引き取ったのです。

その直後に訪問看護師さんが駆け付けてくれたこともあり、救急車は呼びませんでした。正式な死亡診断は後ほど医師によって行われましたが、看護師さんからは「お葬式はどうしますか?」と尋ねられました。

つい先日、お医者さんからも「この1か月(に死去すること)はないでしょう」と言われていたこともあり、まだお葬式について具体的に考えたことはありませんでした。当然、葬儀会社にあてなどあるはずもありません。

訪問看護師さんが地元の小さな葬儀会社を紹介してくれるということでしたので、ありがたくお願いすることにしました。ほどなくして、葬儀会社の担当者から電話があり、自宅に来てもらって打ち合わせをすることが決まりました。

詳しい葬儀の内容は打ち合わせで決めるのですが、このとき1点だけリクエストを伝えました。それは「通夜や告別式などを行わず、なるべく少人数でシンプルなお葬式にしたい」という希望でした。

折しもコロナの感染拡大第三波が叫ばれるようになった頃。親戚一同や友人などが集まってクラスター感染を起こしたくないというのがわが家の総意でした。

オプションを省いてシンプルな葬儀を

母が亡くなったのは朝10時頃でしたが、葬儀会社さんがやってきたのは同日の夕方。

事前にこちらの希望を伝えておいたため、先方からご提案いただいた葬儀プランはとてもシンプルなものでした。

出席者は斎場に集まり、火葬して見送るだけのお葬式です。葬儀の用語では「火葬式」とか「直葬」などと呼ぶようです。最近は、コロナの影響でこれを選ぶ家族も増えているとのことでした。

「火葬式」といっても、細かいオプションを決めねばなりません。今から見積書を見返してみると、いろいろな項目があるのがわかります。

見積書に記載された項目

うちの母はクリスチャンだったので戒名や読経はなし、親しい神父様もいなかったので宗教者の立ち会いも希望しませんでした。

それでもいくつか選んだオプションがあります。まずはお花。お通夜や告別式は行わないので、せめて棺の中に花を手向ける儀式は行うことにしました。また、わが家の場合、出席者は11人でしたが、火葬の間に待機する部屋は用意してもらいました。

出席者はごく親しい親戚を含め11名

ここで、出席者選びについて触れておきたいと思います。正直、出席者選びについては少々悩みました。コロナ感染のリスクを減らしたいと思う一方、母と親しかった親戚は呼びたいという気持ちもあります。

まず、肉親で言うと、僕、父親、妹の3人。そして、僕の妻、妹の夫と息子の3人。さらに、父の兄(故人)の妻と父の妹夫婦で3人。最後に、母の姉夫婦で2人。合計すると全員で11人となります。

僕の従兄弟の中には母を慕ってくれていた方もいて、葬儀に出たいという連絡もありました。ですが、もしそれを受け入れると他の親戚を断ることもできなくなり、人数はあっという間に2倍、3倍に膨れ上がります。当然、コロナ感染のリスクも増加するでしょう。

コンパクトに葬儀を行うには10名程度が適当だと考え、双方の親戚には事情を説明し、上に挙げた以外はすべてお断りさせていただくことにしました。友人・知人についてもご遠慮いただくことにしました。

幸い皆さんには快くご理解いただけましたが、このあたりはそのお宅によって事情が異なり、判断が難しいだろうと思われます。

火葬式は費用もコンパクト

こうして最小限の形で葬儀を行うと決め、いただいた葬儀費用の見積もりがこちらです。

葬儀代金の見積33万9200円

これは葬儀会社に振り込んだ金額で、これとは別に火葬中の休憩室の代金2万円や関係者への心付1万2000円を現金で事前に支払いました。合計すると37万1200円。

この金額が高いのか安いのか、葬儀について何も知らない自分には分からなかったのですが、後日、葬儀業界に詳しい人に話してみたところ、シンプルな火葬式なら「30万~50万円くらいが目安」と教えてくれたので「相場の範囲内でお安め」といった価格だったのではないかと推測されます。

たまに「葬儀で法外な金額を請求された」などとという話も耳にしますのでホッとしました。

葬祭費の支給についての書面

ちなみに、葬儀代金を支払った後、国民健康保険による「葬祭費」を申請することができます。世田谷区の年金課の保険給付係に問い合わせて「葬祭費等支給申請書」という書類を送ってもらい、葬儀代金の領収書と一緒に送り返すと支給されます。23区の場合は7万円だそうです。

なお、世田谷区では火葬式でも申請可能ということでしたが、自治体によっては火葬式では支給対象と認められないケースもあるようなのでご注意ください。

葬儀までの日程のこと

日程の調整についてもお話しましょう。

母が亡くなったのは日曜でしたが、その翌日の月曜に遺体を引き取ってもらい、斎場に運んでいただきました。葬儀はその翌日の火曜以降で調整したのですが、あいにくその日は「友引」ということで見送り、水曜に決まりました。

昨年、叔父が亡くなった際、最短で葬儀を手配しても1週間後だったと聞いていたのですが、わが家の場合は死去の3日後には葬儀を行うことができました。ひょっとしたら通夜や告別式も含んだ葬儀などとちがってシンプルな火葬式だったおかげなのかもしれません。

シンプルな火葬式を選んでよかった

斎場の内観

※写真はイメージです

葬儀当日の進行はいたってシンプルでした。午後1時に出席者が斎場に集まり、1時半から棺にお花を手向けます。30分ほどでしたが、親しい親戚だけでお別れをするには十分でした。

このあと2時から火葬が行われ、およそ1時間、別室で待機します。先ほどの休憩室の代金はこの部屋を使うためです。コロナ禍ということで休憩室にはお菓子などは置かず、飲食もなるべくご遠慮いただきました。もちろん、全員マスクは着用です。

3時過ぎに「骨上げ」を行い、葬儀は終了しました。かかった時間は2時間強。喪主を務めた自分が言うのもなんですが、人生でもっとも短い葬儀でした。

しかし、親しい家族だけで母にお別れを言うことができたので、終始なごやかなムードが漂い、親戚にも大変好評でした。お通夜や告別式のようにたくさんの人が行き来しないぶん、人と接する心理的な負担が少なかったのも助かりました。

コロナに配慮しての選択でしたが、式を終えてみると火葬式を選んで本当に良かったなと感じました。コロナを別にしても、コンパクトで親密な雰囲気で家族を見送るという「火葬式」は立派なお葬式のかたちのひとつだと実感した次第です。

それぞれの家族ごとにさまざまな事情があるとは思いますが、葬儀について考える参考にしていただければ幸いです。

画像/PIXTA(費用明細の画像を除く)

Source: Sumai
火葬式を選んでよかった~コロナ禍に最小限の葬儀で感じたこと