シェアハウスのとんでもない間取り。大きな窓があるのに開けちゃダメ!?

掃き出し窓が開かない部屋で暮らす住人

ひと口に「シェアハウス」といっても、その成り立ちは様々です。最初からシェアハウスを目的として建築するケースもありますが、住宅だった建物をリフォームしたケース、テナントビルをコンバージョン(用途変更)したケースなど、いくつかのケースがあります。
なかには収益率を高めようと部屋数を増やし、通常の賃貸住宅では考えられない、おかしな仕様や間取りになっている場合もあるようです。

不動産コラムニストの吉井希宥美さんが住んでいたシェアハウスは、元の間取りが4LDKという大きめの一戸建て。シェアハウスにするにあたり、個室を仕切るなどして13の個室がつくられた建物です。「窓」に魅力を感じてそのシェアハウスを選びましたが、その「窓」のせいで大変な目に遭ったといいます。詳しく語ってもらいました。

角部屋で窓が2か所ある部屋を内見せずに契約

初めてのシェアハウス生活に私が求めたものは「開放感」です。とはいえシェアハウスの場合、広い個室は稀ですし、あったとしても家賃が高額になるのは目に見えています。そこで私は「窓」にこだわりました。

決め手になったのは、角部屋で窓が2か所あることでした。南側は掃き出し窓で、バルコニーに出られます。西側にも小さい窓があり、2か所開放すれば、4畳の小さな部屋でも風が通って快適そうだと思いました。引っ越し前から育てていて、腰くらいの高さになった鉢植えのオリーブも、2鉢持ってこられそうです。

入居者の入れ替えが激しい時期だったので、ほどんどの部屋が見学できませんでしたが、管理会社の担当者からは「窓が2か所あるので、開けると気持ちいいですよ」と言われました。また、早く部屋を決めなくては…という焦りもあり、すぐに申し込み、契約することに。

2週間後に入居するまでは、そよ風が植物の葉をさらさらとなでつけ、その柔らかな音が耳に心地いい、そんな快適な暮らしを想像していました。

掃き出し窓の真ん中に壁があるから開けちゃダメ!?

しかし、その夢は絶たれました。入居前日に、管理会社の担当者から電話があり「掃き出し窓が、開かないことが分かったんです」と平謝り。私が入居する予定の部屋は、元々8畳だった部屋を2つに分けて4畳ずつの個室にしているため、引き違いの掃き出し窓の真ん中に壁を設けてあるのだとか。

片側の窓は隣の部屋のものなので、セキュリティ的に開けることができないというのです。ショックでしたが、他の部屋を探す時間もないので、オリーブの木を持ち込むことは諦め、泣く泣くそこに住むことにしました。

入居後は、通風の大切さを嫌というほど学びました。西側の窓は開けられますが、洗濯物を干すことはできません。必然的に室内に干すことになり、夏はものすごい湿気です。洗濯物だけでなく、布団も常に湿っています。

「外出時にエアコンの暖房をつけておくとカラッと乾く」とシェアメイトから聞いてやってみましたが、サウナのようなミストが部屋中に漂い、余計に気持ちが悪くなるだけでした。

窓は天窓だけ。シェアメイトの部屋はより過酷な環境だった

シェアメイトとは、共用部であるキッチンなどではよく話をしますが、お互いの部屋に入って話すということはまずありません。部屋が狭いので、2人以上部屋に入ることが不快だということが、おもな理由です。

就職のために東北から出てきた20代のBさんの部屋は、シェアハウスの中で一番リーズナブル。私の部屋は4畳でしたが、それよりも狭いと本人から聞いていました。部屋の募集広告には「メゾネット仕様で開放的!天窓があり明るい」と書いてあったそうです。入社日の関係で、私と同様、部屋の内見をせずに入居したため、広告のキャッチコピーと部屋のイメージがかなり異なり、不満がたくさんあるようです。

ある日、Bさんの部屋のインターネットがつながらなくなり、入居者の中でネットに強いと思われるCさんと私がルーターを修理しにBさんの部屋に入ることに。Bさんの部屋の狭さは想像以上だったので、驚きました。部屋にはベッドしか置けません。人が立っていられる空間がほとんどなく、ドアの脇にはロフトに上るためのはしごがあります。

募集広告には「メゾネット」と書いてあったようですが、どう見ても「ロフト」です。ロフトは天井が低いので、立ち上がることができません。小さな天窓が付いていますが、はめ殺し窓のため、開けることは不可能です。Bさんの部屋にある窓はその1か所だけでした。当然真っ暗で、なかなか過酷な環境です。

私の部屋は、開けられない掃き出し窓のおかげで明るさだけはバッチリ確保されているので、余計にそう感じたのかもしれません。あまりに暗いので、物置をリフォームして部屋にしたのではないか、と思ってしまったほどです。同時に、私の部屋を見たらBさんはショックを受けて退去してしまうかもしれない、と不安になってしまいました。

ですが、シェアハウスでは他の人の個室には入らない、という暗黙のルールがあるため、他のシェアメイトによると、その後もBさんは楽しくシェアハウス生活を送り続けているそうです。

●体験した人/吉井希宥美さん
宅地建物取引士、AFP、家族信託コーディネーター®、相続実務士を所持する不動産コラムニスト。不動産取引や相続相談を行いながら、執筆を手掛ける。

イラスト/押本達希

Source: Sumai
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